電通の企業体質を見破ることはできなかったのか?~就活の際に企業をいかにして見るか

昨年末ごろから、電通の問題が次々と浮上し、色々な意見や憶測が飛び交っていますね。高橋まつりさんの事件を機に、電通の実態が暴かれつつありますが、電通のこうした実態を知ることは今までできなかったのでしょうか。高橋まつりさんは電通で過ごす日々に耐え切れずに、自殺をしてしまったわけですが、彼女は入社一年目でした。東大を卒業し晴れて大企業、電通に入社したところ、予想外の企業体質に苦しめられてしまったわけです。こんなことってありなのでしょうか。就職活動の段階で、こうした企業の闇に気付くことはできないのでしょうか。今回はどうすれば企業の実態に少しでも近づけるのかについてみていきたいと思います。

CSRとは何か?

まず企業というものには、CSRという概念があります。CSRとはなんでしょうか。CSRとは、"corporate social responsibility"のことで、つまり「企業の社会的責任」という意味です。OMRONの会社のホームページによれば、CSR活動とは、

「従業員、顧客、取引先、仕入先、消費者、株主、地域社会、自治体や行政など多様な利害関係者(ステークホルダー)と積極的に対話し、良好な関係を保ちながら経営を続ける」

ための活動です。そして注目していただきたいのが、この「利害関係者」には、従業員も含まれるということです。つまり企業のCSRを見ることで、その企業がどのように従業員とかかわっているのかが読み取れるということになります。当然企業によってCSRの内容は異なり、その果たすべき役割や責任は様々ですが、特に大企業になればなるほどこうした活動が活発に行われるということになります。

ということをかんがえれば、就活の企業選びの際には、会社のCSRは必須項目となるでしょう。CSRの従業員に対する関わり方をよく知ることで、その企業の在り方というものが見えてくるはずです。

電通のCSRはどうなのか?

ということで、電通のCSRのホームページを見てみました。全体的な感想からいきますと、とても素晴らしいCSRとなっております。やはり大企業というだけあって、それだけ社会から期待されることも多ければ、社会に還元すべきことも多いのかなという印象です。以下は電通の「CSR推進体制」をまとめた図になります。

Csr

出典:「電通のCSR推進体制

これだけ見ると、かなり素晴らしい体制となっていることがわかるでしょう。CSR委員会は取締役会、経営会議の直属にありますし、「下位専門委員会」や「各種専門検討部会」など内容に応じてチーム体制がしっかり作られているといえるでしょう。またCSR推進委員は「社内全局に配置され」、「社員に具体的なCSR施策を周知・伝達」しています。これだけしっかりとCSR活動を行っていれば、かなり会社全体に対する影響力もあるのではないかと推測することもできるかもしれません。ですが一連の電通の問題にもある通り、やはり企業の内部に大きな問題があることを考えてみると、このCSR活動の脇をかいくぐって中々問題が解決されていかない実態があるのかもしれません。それではもう少し詳しくCSRの内容を見ていきましょう。

電通グループ中期CSR計画2020

やはりCSR活動の実態がよくわかるものとしては、「CSR委員長」からのメッセージでしょう。電通のCSR委員会委員長の松島訓弘氏によると、電通は2015年12月に、2020年をターゲットとした「電通グループ中期CSR計画2020」を策定しているということです。そのCSR計画における重点領域は、「環境保全、コミュニティ、サプライチェーン、責任あるマーケティング・コミュニケーション」の4点となっています。ここには企業の労働環境に関する内容は一切含まれていません。このことは、企業として内部の労働環境に問題があることを把握できていない、あるいは把握していてもそれを大きな問題だと思っていない、ということが考えられます。そして松島氏の言葉の最後の方には、

「電通グループの社員には、ワーク・ライフ・バランスの充実を図り、高い志と実行力を持つプロフェッショナルとして行動してもらう」

という言葉がおまけの様に付加されていますが、それに対して抜本的改革を行っていくような姿勢がないのでは意味はありません。またメッセージの中で、

「企業が継続的に成長して企業価値を高めていくには、財務的なパフォーマンスの追求だけでは実現は容易ではありません。」

「ESG(環境、社会、ガバナンス)の視点を重要視し、非財務分野での企業価値創造を求めています。」

といったように、より広範囲のCSR活動を実践していくと述べています。しかし従業員の労働環境が整っていない中、CSR活動の範囲を広げていくというのはどうなのでしょうか。そうしたCSR活動を行っていくことは、全従業員に対して、より多くの負担を強いることになるわけです。広範囲なCSR活動を目指していくことで、企業の一番の基盤である労働環境に支障をきたしてしまう結果になるとはなんとも皮肉なことでありましょう。少し話がそれましたが、次は具体的な労働環境についてみていきましょう。

ハラスメント相談課の意味するところ

遂に見つけてしまいました!電通の労働環境を示す具体的な指標を。これです。「ハラスメント対策活動」です。2012年に機能を一元化して作られた「ハラスメント相談課」に寄せられた相談件数は、

2012年度:47件

2013年度:50件

2014年度:53件

2015年度:49件

となっております。毎年約50件近くのハラスメントに関する相談が浮上してくるというわけです。つまり1週間に一回はそうした相談が行われているわけであり、それは企業内のハラスメントが常態化している事実を如実に示しています。当然相談など行かずにハラスメントを我慢して自分で耐えているような人も中にはいるわけで、そうして考えてみるとかなり闇が深そうですね。そもそもハラスメント相談課が設立されること自体が、ハラスメントが起きている実態を示しているわけで、これは疑いようのない事実としてあります。

そして件数を見てもらえばわかる通り、数値は一向に減る気配がないという現実もあります。この数値の意味するところ、そして「ハラスメント相談課」という名前の意味するところから考えると、この組織はハラスメントを受けた人をケアすることが目的であり、ハラスメント事態を根絶しようという目的がないように思えてならないのです。相談を聞いていればハラスメントの根本原因の追求は難しくないはずで、浮上した問題を根本的に解決することもやろうと思えばできるはずです。もし根本的解決に向けて動き出しているとすれば、年々数値が減少していくさまが見えるはずです。現在の状況は、ハラスメントに対する対症療法をただ延々と続けているだけであり、根源をつぶさない限り明るい未来は一向に見えてこないでしょう。

これだけのCSR活動の基盤を整えておきながら、それが有効に活用されていないという現状を見ると、企業って本当に難しいな、ということを痛感させられます。やはり企業のトップや組織のトップが、問題の深刻さに気付き、そうした問題を根本的に解決することを第一に考え続けるということでしか、企業は変わっていかないのでしょう。高橋まつりさんの事件をきっかけにして、社会は電通に新たな方向性を示しています。そうした社会からの期待に応え、正しい道を選んでくれることを願うばかりです。

今回は電通のCSRに焦点を当て見てきましたが、就活におけるCSRの重要性も改めて感じることができました。企業を正しく判断し、そうして企業も変わっていく。そういう社会の在り方を目指していきたいものです。「就活をいかに早く始めるべきか」という点にも関わってきますが、興味のある方はぜひそちらの記事もご覧ください。

これまでの主要な記事一覧↓

・トランプ氏が日本に対してもつ絶大な影響力とは?

・電通に何があったか~高橋まつりさんの想い

・就活の準備はいつからやるべき?

・ソフトバンク、そして日本の企業体質はいかに

・教育大変革の時 ~Part1 日本の詰込み教育~

・教育大変革の時 ~Part2 大手予備校の将来性比較~

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中